副社長と恋のような恋を
言われれば納得だ。これから企画チームに入り、副社長との接点が増える。そんなときに付き合っているなんて噂が出れば、色目を使って恋人になっただの、恋人だから企画チームに入れただの、嘘だらけの噂が広まるだろう。
「わかりました。そうします」
「デートの相談の前に、連絡先交換しようか」
「プライベートの番号ですか?」
「うん。社内メールを私用で使うのは禁止されているからね」
副社長はジャケットの内ポケットからスマホを取り出した。私もカバンからスマホを出す。副社長はトークアプリを使っていない人で、電話番号とメルアドを交換することになった。
「失礼します」
ウェイターが小ぶりのホールケーキを運んできた。テーブルに置かれたケーキには“Happy Birthday Mai”と書かれている。
「あの、これ」
「バースデーケーキ」
「いや、あの日、副社長は祝ってくれたじゃありませんか」
「あの日に祝ったのは都築先生の誕生日。今は酒井麻衣さんの誕生日を祝っているんだ」
こんなこと想像もしていなかった。そうだ、都築麻衣の姿で誕生日を祝ってもらったのは、あの日が初めてだ。
「同じ人に続けて二度も誕生日を祝ってもらったのは初めてです」
「そう。食べようか」
副社長は近くにいたウェイターにケーキのカットを頼んだ。
「わかりました。そうします」
「デートの相談の前に、連絡先交換しようか」
「プライベートの番号ですか?」
「うん。社内メールを私用で使うのは禁止されているからね」
副社長はジャケットの内ポケットからスマホを取り出した。私もカバンからスマホを出す。副社長はトークアプリを使っていない人で、電話番号とメルアドを交換することになった。
「失礼します」
ウェイターが小ぶりのホールケーキを運んできた。テーブルに置かれたケーキには“Happy Birthday Mai”と書かれている。
「あの、これ」
「バースデーケーキ」
「いや、あの日、副社長は祝ってくれたじゃありませんか」
「あの日に祝ったのは都築先生の誕生日。今は酒井麻衣さんの誕生日を祝っているんだ」
こんなこと想像もしていなかった。そうだ、都築麻衣の姿で誕生日を祝ってもらったのは、あの日が初めてだ。
「同じ人に続けて二度も誕生日を祝ってもらったのは初めてです」
「そう。食べようか」
副社長は近くにいたウェイターにケーキのカットを頼んだ。