副社長と恋のような恋を
「おもしろいところだよ。たぶん、君は行ったことなんじゃないか?」

 これ以上聞いても、なにも終えてくれない気がした。だから、そうですかと返事をして会話を終わらせた。

 横目で副社長を見る。今日はスーツではなかった。休日だから当たり前のことだけれど。ダークグリーンのニットに黒のカジュアルなジャケット。それにジーンズ。シンプルな服装だけど、とてもよく似合っていた。

 夕日がそろそろ沈んでしまいそうな空。海の色もどんどんと濃くなっていく。

「あそこのドライブスルーによるから」

 数メートル先にファストフード店があった。

「喉でも乾いたんですか?」

「ピクニックは軽食が必要でしょ」

「はあ」

 謎のピクニックのために、そこまでするのかと思う。

 ドライブスルーエリアに入り、副社長はコーラのLサイズとフライドポテトとチキンナゲットを頼んだ。

「飲み物はなにがいい?」

「私はアイスティーをMサイズで」

 副社長は私の分の飲み物を頼んだ。窓から商品を受け取る。それを私が受け取り膝の上に乗せた。

 お会計を済ませ、車が再び動き始めた。

「ドライブスルーなんて使うの久しぶりです」

「俺も、学生のころはよく使っていたけど、社会人になってからは使わなくなったな」
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