副社長と恋のような恋を
 やっぱり村田先輩のことが好きなんだろうと思った。

 高校時代のことを話していると、森田さんと小野さんがやって来た。

「遅くなりました」と言いながら森田さんと小野さんは、私と村田先輩の前に座った。

「全員揃いましたし、始めましょうか」

「あ、副社長って来るんですか?」

 小野さんの質問に思わず答えそうになり、咳払いをして誤魔化した。

「もしかしたら途中参加するかもしれないそうです」と、山岸さんが言った。

「じゃあ、あんまり酔っ払わないほうがいいですね」

 小野さんの言葉に酔っ払うつもりだったのか、と心の中で突っ込みを入れた。

 とりあえず山岸さんと村田先輩以外は普通のビールを頼み、二人はノンアルコールのビールを頼んだ。

 それから乾杯をして、運ばれてきた焼き鳥や唐揚げをつまんだ。

 料理を運んでくるのは山岸さんのお母さんで、注文したものを持ってくるたびに、ビール足りていますか、いっぱい食べて下さいねと言ってくる。そのたび、山岸さんはいいからと言っていた。

 おつまみがだいぶ減ってきたころ副社長がお店に現れた。

「遅くなってすまない」

 副社長がイスに座った途端、山岸さんのお母さんがビールを持ってきた。

「うちの息子がお世話になっております」
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