背徳の王太子と密やかな蜜月
アロンソは濡れたダークブロンドの髪をぐいっと後ろへとかき上げると、ちゃぷちゃぷ音を立てながらイザベルのもとへと近づいてくる。賊として戦うなかで鍛え上げられたのであろう逞しい胸板や割れた腹筋に、彼女は思わず見とれてしまった。
(すごい引き締まったカラダ……。あれ? 今って、その下は……?)
イザベルはいやな予感を抱いて、彼に問いかけた。
「あ、あの……アロンソ、あなた服は? その、今は見えていない部分の」
「何も着ていないが?」
「ちょ! だ、だったらこれ以上近づかないで!」
みるみる頬を赤らめたイザベルが、慌てて回れ右をした。その意味を理解したアロンソは、彼女の初心(うぶ)な反応にクスッと笑みをこぼした。
そして、昨夜心を乱された仕返しだと、意地悪い気持ちになりながら岸に近づいていく。
「イザベル」
「な、なによ……」
「この暑さだ。お前もそろそろ汗を流したい頃じゃないのか?」
「わ、私は別に……きゃっ!」
彼女の返事などお構いなしに、アロンソはその華奢な腕をつかんで、泉の中へと引っ張り込む。ざぶんと音を立てて水中に倒れこんだ彼女を、アロンソが「おっと」と抱き留めた。