背徳の王太子と密やかな蜜月
*
真夜中になって、イザベルは目を覚ました。気だるさの残る身体をゆっくり起こすと、窓から差し込む月明かりがぼんやり部屋の中を照らしている。
(えっと……私、どうして寝てたんだっけ……)
瞬きを繰り返しているうちに思考が動き始め、先ほどの情事の断片的なシーンが彼女の脳裏に次々と映し出された。
(わ、私っ、アロンソと……!)
互いに服を取り去って、体温を確かめ合った甘い時間の記憶。
アロンソのなかに残っていたほんの少しの理性が最後の一線を越える事だけはとどまったものの、イザベルにとっては越えたも同然だった。
初めての甘い快感に溺れ、彼にたくさんはしたない姿を見せた。
よく見れば今も裸のままで、激しい羞恥に襲わたイザベルは、掛けられていた毛布を頭からかぶってベッドにうずくまる。鼓動がドキドキとうるさい。
どうしてあんなことしちゃったんだろう。私たち、恋人同士でもないのに。自問自答するイザベルの耳に、小屋の扉が開く音が入ってきた。