背徳の王太子と密やかな蜜月
「……責任を取らせてくれと言ったら、お前はなんて言うだろうな。いや……言うのはよそう。困らせるだけだ」
最後にふっと自嘲して、アロンソはため息をついた。
(責任を取る……って、どういう意味?)
考えるより先に、イザベルの体が動いた。バッと毛布を剥いで、ベッドのそばに佇むアロンソを見つめた。月明かりに照らされた彼の顔は、明らかにうろたえていた。
「イザベル……! お前、まさか起きて……」
「ねえアロンソ、今の言葉……」
「いいんだ、悪かった。お前にも選ぶ権利というものがあるのに……今の戯言は、忘れてくれ」
「忘れられないわよ!」
早口でごまかしの言葉を並べ立てるアロンソに、イザベルは思わず声を張り上げた。
どうしてこんなにムキになってしまうのだろう。その理由を考えると、鈍感な彼女でも、ようやく自分の気持ちがまっすぐ向いている相手に気が付いた。
毛布を体に巻き付けてストンとベッドから降り、彼のもとへ歩み寄っていく。