隣の席の魔法使い。

｢好きなんでしょ？青葉くんのこと。この穂乃果を差し置いて｣


｢う、うん……｣



穂乃果ちゃんが眉間にシワを寄せながら私に迫ってきたので、私はその勢いに負けつつ消え入りそうな声で穂乃果ちゃんに何とか返事を返す。


そのことでしたか。



｢まぁ、そうだろうとは前々から思ってたけどね。でも自覚があるくせに前となーんにも変わらないのはどうかと思うの。私のライバルなんだし、もうちょっと頑張らないと張り合いないんだけど｣


｢は、はい｣



何も言い返せない。

好きだと自覚しても私と青葉くんの関係は何も変わっていない。


何なら青葉くんは私の保護者ポジションだ。



｢私に青葉くんのことが好き宣言した割には弱気すぎ。バカバカバーカ！｣


｢そ、そんなに言う？｣


｢穂乃果はねぇ！この状況にいろいろむしゃくしゃしてんのよ！優香ちゃんのバカ！｣


｢えぇ……？｣



穂乃果ちゃんが怒りたいのもものすごくわかるが、その怒りたい理由が私が弱気だからなのがちょっと意味がわからず私は困惑する。



自覚してすぐ青葉くんへの気持ちを穂乃果ちゃんにも伝えたので、一応穂乃果ちゃんの恋の協力者ポジションからライバルポジションになった訳で。


協力どころか恋を邪魔することになってしまい、怒っているのかと思っていたんだけど。