隣の席の魔法使い。





「うんうん、穂乃果ちゃんの気持ち俺もよくわかるよー。焦れったいよねぇ。優香ちゃんと俊哉」



そんな私たちの会話に入ってきたのは席がものすごく離れているはずの岡崎くん。


何故か私たちの前の席に座って振り向く形でこちらをニコニコ笑顔で見ていた。



「だけど穂乃果は絶対、ぜーったい言わないからね!岡崎くんも余計なこと言わないでよね!」


「おぉ、怖い怖い」



いきなり現れた岡崎くんに驚く様子もなく、むしろウザそうに睨みつける穂乃果ちゃんに思ってもないことを言うように岡崎くんがヘラヘラと笑ってみせる。


そしてそんな2人の会話を訳がわからず、ただただ見つめるだけの私。



「そ、そんなことより岡崎くん、席は……」


「席?あぁ、いいのいいの。そもそもこんなもんに無理やり参加させられてるんだから席くらい好きにさせて欲しいよね?」


「はぁ……」



岡崎くんに対して1番の疑問を口にすると岡崎くんなりの理由が返ってきて間の抜けた返事をしてしまう。


確かに岡崎くんは今日無理やり青葉くんに連れ出されたらしいけど、それが好きな席に座っていることとは関係ないのでは……。



「ん?」



ふと負のオーラを感じたので負のオーラを感じる方へ視線を向ける。


そこには……







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