隣の席の魔法使い。
side穂乃果
優香ちゃんに触れた時、優香ちゃんの想いの強さ、深さに負けたと思った。
本当は魔法なんて使わなくてもあの見るからに両思いの二人の手助けなんてしたくなかったし、私の方が青葉くんのことが好きだと自負があった。
だけどあんな想い見せられたらさすがの私でも引くしかない訳で。
青葉くんは嘘をついている。
これは確実だ。
遊園地の時、私が読んだ想いは本物だった。
言い方は悪いが、ある意味病的にまで青葉くんは優香ちゃんのことを愛していた。
そしてきっと自覚もある。
じゃあ、何故その想いを受け取ろうとしない?
「…………」
廊下を歩きながら疑問に対する答えを考える。
思い当たる節が一つだけある。
青葉くんに魔法を使っている時にいつも微かに聞こえる青葉くんのどこか暗い感情。
何を言っているのか、何を想っているのかはわからない。
いつもそれが青葉くんの想いの中心ではないからきちんと読み取れたことがない。