隣の席の魔法使い。





「あーあ。泣かせちゃったね?俊哉」


「拓真……」


「て、うわ、俊哉もなんて顔してんの」



俺の後ろから声をかけて来た拓真を少しだけ見てまた西島が走って行った方に視線を戻す。


そんな俺を見て拓真は「追いかければ?」と呆れたように言ってきた。



それが叶えばどんなにいいだろうか。



「……今ここで俺と離れた方が西島は幸せだと思う」



追いかけられない理由を、分かりきっている理由を口にする。



「西島が俺のことを好きだと言うなら尚更だ。俺と一緒にいれば今より辛い想いを味わうことになる。俺は西島には幸せになってもらいたいんだ」



だからその幸せの為ならば俺のこんな想い犠牲にしたって構わない。



「あー、そうかよ。お前は悲劇のヒロインか!じゃあ、そこで1人で項垂れてろよ!西島は俺が貰うから!」


「……は?」



拓真今なんて言った?



珍しく笑顔ではなく、険しい表情でこちらを睨みつける拓真にこちらも同じ表情になる。








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