隣の席の魔法使い。
side拓真
優香ちゃんを追って走って行った俊哉の背中を複雑な気持ちで俺は見つめた。
言葉では表せない様々な感情で胸がいっぱいになる。
ごめんね優香ちゃん。
俺はやっぱり俊哉が大事なんだ。
「青葉くん、何か訳ありなんでしょ?」
その場で立ち尽くしていると俊哉がいる時とは全く違う表情を浮かべた穂乃果ちゃんが俺の横に現れる。
表現の仕方が悪いかもしれないが全く可愛くない、ひどく冷えきった表情だ。
これが素なのだろう。
「触れて見る?」
俺は素なんて見せない。
穂乃果ちゃんにニッコリと笑って穂乃果ちゃんの方に腕を差し出す。
だが、しかし。
「心を読まれることをわかっている人の心を読んでも意味ないでしょ」
と鼻で笑われて手を軽く叩かれた。
まぁ、そうだよね。
「アンタ、前から言おうと思ってたけど表裏激しすぎよね」
「お互い様でしょ?」
「.......否定はしないわ」
俺はニッコリと穂乃果ちゃんは相変わらず冷たい表情でお互いを値踏みするように見つめる。