隣の席の魔法使い。
「…………」
湯川さんは確かバレー部のエースだ。
大会だって近いはず……。
「ちょっと待って」
湯川さんが体育委員によってコートから連れ出された所で声をかける。
誰かの捻挫は治したことはないが私の魔法でなら治せるはずだ。
おそらく私に捻挫が移ってしまうだろうが、私は別に湯川さんみたいに絶対捻挫をしてはいけない訳ではないし、しばらくの間足が不自由になっても特に問題はない。
そんなことよりも助けられる能力があるのに見て見ぬふりをする方が何倍も嫌だ。