隣の席の魔法使い。
「……どうでしょうか」
待ち合わせ場所である神社の鳥居の前で拓真と一緒に西島たちを待っていると見慣れない姿をした西島と飯塚が俺たちの前に現れ、西島は恥ずかしそうにそう言って目線を下に向けていた。
え。可愛い。
「……っ!」
自然と頭に浮かんだ自分の感想に恥ずかしくなり、思いっきり西島から目を逸らす。
な、何考えてんだ、俺……!
「あ、あの〜、青葉くん?」
「これはこれはぁ〜?穂乃果たちの可愛さに照れているわねぇ!青葉くん可愛い!」
そんな俺に対して西島の不思議そうな声と飯塚の含みのある言い方で実際には見れていないが(目線を逸らしている為)なんとなく2人のリアクションは察した。
「確かに俊哉の反応は可愛いね。でも2人の可愛さには敵わないよ。やっぱり夏祭りと言えば浴衣だよね」
俺の隣にいた拓真が一歩前に出て俺のことをからかいながらも2人のことをさりげなく褒める。
一言余計だ。
「……俺は可愛くねぇ」
「「いや、可愛いよ」」
「拓真!飯塚!2人でハモって否定するな!肯定しろ!肯定!」
俺を〝可愛い〟と何とも不快な表現で現した拓真と飯塚の言葉を否定すれば、今度は二人とも真顔でそれを拒否したのでつい大きな声でツッコミを入れてしまった。