隣の席の魔法使い。





西島が興味津々で見ている屋台は全て見て回った。


ヨーヨーすくいや射的、お面や一風変わったお店を見つけては近くまで行って見てみたり。

初めこそ手を繋いでいる状況にドキマギしていた西島だったが、どんどん祭りに夢中になり、途中からは俺の手を引いて駆け出すほどになっていた。


だからだろう。


俺たちはいつの間にか拓真と飯塚とはぐれてしまっていた。

まぁ、おそらくこちらに気を利かせてわざとはぐれたのだろうけど。



「穂乃果ちゃんがこの人混みの中で合流するのは難しいだろうから各自楽しもうって」



スマホから目線を上げて西島が飯塚とのLINEの内容を俺に伝える。


やっぱり。


疑惑が確信に変わった。

本当、どこまで友達想いなんだよ、拓真。

飯塚もちゃっかり協力者にしてさ。



「わかった」



スマホを巾着袋に片付けている西島に素っ気なく返事をする。


そして先程まで西島が持っていたわたがしをスマホを片付けられたタイミングを見て渡すと嬉しそうに西島は「ありがとう」と言ってきた。




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