隣の席の魔法使い。





俺の隣を楽しそうに歩く西島。

水色の花びらの浴衣がとても似合っている。

多分、いや、絶対この世で1番似合っている。


「わたがし、うまいか?」

「うん!青葉くんもいる?」


あまりにも美味しそうにわたがしを食べる西島に声をかけると西島は笑顔で答えたあと俺の方へわたがしを差し出してきた。


「じゃあ、一口だけ」


そんな西島から差し出されたわたがしを口に含む。

口に含んだ瞬間甘さが口内に広がる。

そしてそれは一瞬で跡形もなく消えた。


「おいしい?」


今度は西島が俺と同じ質問を俺にぶつける。


「甘い」

「甘いの苦手?」

「……普通」

「得意ではないんだね」


俺のリアクションを見てなんとなく俺のわたがしへの感想を察したようで西島が苦笑いを浮かべる。

西島のその認識は間違っていない。

けど……


「確かに得意じゃねぇけど西島から貰ったものならうまいよ」


と、正しい認識を西島に笑顔で伝えた。


「うへ!?」


すると西島はこのリアクション。

顔を真っ赤にしてまた変な声をあげている。


どこにそんな赤面する要素があったんだ?

可愛いからいいけど。




< 166 / 193 >

この作品をシェア

pagetop