隣の席の魔法使い。





「疲れただろ?少し休むか」


屋台も一通り回ったので人混みを離れて休まないかと西島に声をかける。

元気を装っているが俺は結構疲れていた。

こんな時に体力が著しくなくなっていること、弱っていることを痛感させられてしまう。


「うん、休みたい」


西島も少し疲れた様子で俺に返事をしたので2人で人混みから離れた場所に移動して少し休むことにした。



*****



西島が食べていたわたがしはあっという間にその姿を消していた。


俺もわたがしと同じようにもうすぐ消える。

どうせ消えてしまうのなら、わたがしのように西島の一部になって消えてしまいたい。


わたがしになりたい。


「ふっ」


極論すぎて思わず自分で考えたことなのに笑ってしまう。

いよいよ頭がおかしくなってきた。


「どうしたの?」

「いや……」


そんな俺を不思議そうに西島が見つめてきたので別に話すことではないと小さく笑って話を濁す。

するとじーっと西島は俺を見つめ続け、考えて考えてボソッと小声で「気になる」と言った。


「あははははっ!」


その姿があまりにも面白くって、そして何よりも愛おしくて我慢しきれず俺は思わず先程よりも大きな声で笑い出してしまう。


あぁ、本当に面白い!

しかも可愛い!


今日の祭りの感想は可愛いが大半を占めている。





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