隣の席の魔法使い。
それから2人で笑い合ってまた日常の他愛ない話をする。
そんな時間が何よりも愛おしくて素敵な時間だと思う。
だけど時は来てしまった。
ずっと来ないでと、永遠を願ってさえいたのに。
「っ」
「青葉くん?」
先程までいつも通りだった青葉くんの様子がおかしい。
顔色が悪すぎる。
「……っ!」
「青葉くん!」
心臓発作だ。
胸を抑えて苦しそうにもがく青葉くんの名前を思わず叫んでしまう。
そして考える前に私は動いていた。
「……っ!!?」
苦しそうにしている青葉くんが私を信じられないものを見るような目で見つめる。
いや、これは睨まれているかもしれない。
私の右手が青葉くんの肩に触れていたから。
きっと私が魔法を使おうとしていると思ったのだろう。
その通りだからさすが青葉くんだと思う。
こんな状態なのによくそう冷静に理解できるな、と。
一度魔法を使おうとして青葉くんにきつく怒られた。
頭が良くて勘が鋭い青葉くんだ。
日常生活では青葉くん相手に魔法は使えない。
……だから使う時は青葉くんが私の前で発作を起こした時と決めていた。
その時ならきっと抵抗できないだろうから。