隣の席の魔法使い。
青葉くんの病気を治すために右掌に意識を集中する。
大丈夫。
絶対救ってみせる。
「や……め……ろっ」
弱々しい青葉君の声と共に私の右手に触れる青葉くんの手の感覚を微かに感じる。
徐々に徐々に青葉くんの病気が私の中に流れ込んでいるのがわかる。
そしてそれと同時に青葉くんから発せられる言葉、力も強くなっていった。
「や、やめ、ろ!」
何度も何度も青葉くんの悲痛な叫び声が私の耳に届く。
それでも私はやめようとしない。
「止めてくれ!お願いだ!」
パンっ
ついに大きな声で怒鳴られて私の右手は青葉くんに払い退けられた。
あぁ、元気な青葉くん、夏祭り以来ではないだろうか。
「……っ!」
自分の体の異変に1番初めに気づいたのはもちろんその体の持ち主である青葉くん本人だ。
信じられないと言った様子で自分を見ている。
それはそうだろう。
先程まで自分を苦しめていた発作が止まって、体が健康そのものになっているのだから。
私に怒鳴ることができたことと、手を払い退けられたことが何よりも証拠である。