隣の席の魔法使い。
「……も、戻せ。西島、お前の魔法は転移の魔法だ!戻すことだってできるはずだ!」
青葉くんが今まで見たことのない表情で私の肩を掴んで必死に迫ってくる。
何かに怯えている表情。
自分が死にそうなっていた時でさえしていなかった表情だ。
「それはできないと思う。やったことないから。ごめんね」
いつものように申し訳なさそうに笑ってみせる。
いつも誰かの何かを治していたあの頃のように。
「諦めるな!やれば出来るかもしれないだろ!?だから!お願いだ!こんなのあんまりだろ!?」
必死に青葉くんが私に訴える。
けど……
「できたとしても絶対やらない」
私はそんな青葉くんを裏切るようににっこりと笑って見せた。
「嫌だ、嫌だ、嫌だ!西島が死ぬくらいなら俺が死んだ方が何百倍もいい!こんなの認めない!許さない!」
ボロボロボロボロ青葉くんが私の目の前で涙を流しながら何度も何度も私に訴えかける。
ごめんね、青葉くん。
ドクンッ!
心臓が大きく跳ねる。