隣の席の魔法使い。
side拓真
「い、き……て」
西島が最期の力を振り絞って俺に言った言葉。
生きたかった。
俺は生きたかったよ。
自由に生きられるのなら短い人生でもいいと言っていたけれど、でも心のどこかでやっぱりまだ生きていたいって思っていた。
だけどそれは誰かの犠牲の上で、ではない。
「西島!西島ぁ!」
力なく静かに眠る西島に何度も何度も声をかけ続ける。
わかっている。
これは俺の病気だ。
もう西島が目を覚ますことはない。
それでも……
「西島っ」
名前を呼ばずにはいられない。
俺の声を聞いて看護師や医者が集まったのはその数分後だった。
そしてその日、本当は死ぬはずだった人間が死なず、他のその日はまだ死なないはずだった魔法使いの少女が死んだ。