隣の席の魔法使い。
「それはね、青葉くんの気持ちも私の気持ちも汲んだ上で運命に託そうかなって」
「は?何?新しい悟りでも開いた?」
「え、えぇ?真面目に言ったつもりなのに」
「じゃあ、そんなふわふわした言葉選ばずにはっきり言ってよね」
「うぅ、はい」
抽象的な言葉で表現する優香ちゃんに突っかかると優香ちゃんは今度は困ったように笑う。
そして、
「青葉くんが私の目の前で死にそうになったら魔法を使う。逆にそうじゃなかったら魔法は使わない……て決めたんだ」
と強い意志が込められた瞳で私を見つめてそう優香ちゃんは言った。
「……どちらの願いも叶えられないから運任せ……いや、神任せで最後は決めるってことね」
「そう。さすが穂乃果ちゃん理解が早いね」
「穂乃果にできないことなんてないのよ。当然ね」
いつもの調子で私のことを褒める優香ちゃんに「当然」と鼻で笑い、言葉だけではなく、表情でもその感情を私は表現して見せた。