隣の席の魔法使い。
「うん。で、そんな穂乃果ちゃんにお願いがあるんだけど……」
にっこりと微笑む優香ちゃんがポケットから何か……いや手紙を出して私の方へ渡そうとする。
あぁ、多分これは。
「青葉くんに渡して欲しいってこと?この手紙」
「うん。もし私が魔法を使った時に青葉くんに渡してもらいたいんだよね。お願いできるかな?」
心を読まずとも何となくわかったことを口にすれば優香ちゃんが変わらず私に微笑み少しだけ首を傾げて私を見る。
……縁起でもない。
こんなの遺言書ではないか。
「わかったわよ。一応預かってはあげる」
嫌だと思ったがこれがもしかしたら優香ちゃんの最期の願いになるのかもしれないと思うと強く断ることはできない。
素直じゃない私の返事に優香ちゃんは「ありがとう」と嬉しそうに笑った。