隣の席の魔法使い。
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「で、これが預かっていた手紙」
優香ちゃんとの会話を青葉くんに一通り話し終えたあと私は本当に遺言書になってしまった優香ちゃんの手紙を青葉くんに渡す。
「……ありがとうな」
そしてそれを青葉くんはとても辛そうに表情を歪めて受け取った。
青葉くんは今きっといろいろな思いに襲われているのだろう。
読まなくてもその思いが痛いほど伝わってくる。
今の今まで世界から取り残されたような、状況を全く呑み込めていない様子だったのに今の青葉くんは悲痛な表情をずっと浮かべていた。
こんな表情見ていたら引きずられて私までもどんどん辛くなっていってしまう。
「じゃあ、穂乃果はもう行くね」
見ていられなくて、早くこの場から離れたくて私は青葉くんの返事を待たずして青葉くんに背を向けて歩き始めた。
あんなに好きだったのに今ではそんな感情一切なくて。
優香ちゃんは同じ病院に通っていていわゆる幼なじみと言う奴だった。
普通じゃない私と優香ちゃん。
普通の友達とはまた違った関係で、きっと何よりも強い結び付きがあった。
いなくなってから気づくなんて本当にバカだな。