隣の席の魔法使い。
「あの!青葉くん!ちょっといいかな!?」
廊下を歩いていると後ろから聞き覚えのない声に声をかけられる。
振り向けばそこにいたのは見知らぬ女子。
この状況からおそらくいつものパターンではないかと嫌な感情が湧く。
それと同時に拓真が「顔に出てるよ」と小声で笑っていたのでついでに表情にも何かしら嫌な感情が出てしまっているのだろう。
「えっとお昼一緒にどうかな?これからだよね?」
それでも見知らぬ女子は気にすることなく頬を赤く染めて俺に話しかける。
この女子が俺に気があり、距離を縮めようとしていることは一目瞭然だ。
「俺は今日も拓真と食べる。今後もそうだ。だからもう誘うな」
こういった女子は実に多い。
適当なことを言って断ってもあとからまとわりついて来る女子もいるのでここはきっぱりと断りを入れる。
大体の女子はここで意気消沈する。
が、今日の女子は違った。
「……青葉くん彼女いないでしょ?その彼女候補として一緒に居させて欲しいの」
頬を赤く染めて潤んだ瞳で上目遣い。
あざとすぎる仕草で俺を見つめる女子。
正直この上なくめんどくさい。
「彼女なら既にいるから間に合ってる」
「え!?嘘!嘘だよね!?」
「本当だ」
俺の言葉を聞いて先程の表情とは裏腹に目を大きく見開く女子に左薬指の指輪を見せる。