隣の席の魔法使い。
すると女子は「嘘でしょ……」と絶望を顔に浮かべていた。
これでやっと解放される。
と思ったのに。
「嘘よ!そんな情報知らない!実際見たことないもん!青葉くんの彼女!」
「は?」
狂ったように叫ぶ状況に嫌悪感を抱く。
何言ってんだ、コイツ。
まるで俺を全部知っているような口ぶりではないか。
「ずっと見てたんだよ!?だからそんなこと嘘だって……」
「あら?誰が嘘の彼女ですって?」
ヒステリックに叫び続ける女子の後ろから今度は聞き覚えのある声がその女子に高圧的に声をかける。
「え」
その声に驚いて振り向いた女子の後には目が笑っていない飯塚が立っていた。
「どうも、アナタから見たら嘘の彼女らしい俊哉の彼女です」
にっこりと笑って飯塚はポンッと女子の肩に自然な流れで触れる。
飯塚の魔法を知っている者なら彼女が今何をしているのか一目でわかるだろう。
「私の彼氏にストーカーしないでくれる?証拠は既に揃ってるからこれ以上するようなら警察に通報するわよ?」
魔法で心を読んだのであろう飯塚がにっこりと笑う。