隣の席の魔法使い。
言われなくても俺はずっと西島だけを見続ける。
例えもう二度と触れることのできない遠い存在だとしても揺るぐことのない俺の根幹だ。
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あの後飯塚も加わっていつものように屋上での昼食が始まった。
相変わらず他愛のない会話をしたり、時には心地よい沈黙の中でお互いが好きなことをしたりして過ごす。
そこにはもう3年前のように笑っている西島の姿はない。
『ねぇ、昨日のドラマ見た?岡崎くん?』
『穂乃果ちゃんのお弁当美味しそう!』
『青葉くん!いい天気だね!』
いつも違う表情を見せてくれた西島の姿がたくさん目に浮かんでは消える。
これが俺のいつもの日常。
ふとした瞬間に西島の姿を思い浮かべる。
西島はもうこの世にはいないけれど俺の中ではまだ生きていて。
きっと西島は俺の中で永遠と生き続ける。
俺はそんな西島とこれから長い年月を共に生き、そして最期の最期の時にやっと本当に会いたかった西島に会えるのだ。
その時は笑って会おうと決めている。
笑って「西島がくれた人生は幸せだった」と伝えるのだ。
そして本当に会いたかった西島にたくさん俺の幸せな人生について語ろうと思う。
だから俺はこれからも世界中の誰よりも幸せであり続けよう。
隣の席の魔法使い。END.