隣の席の魔法使い。











「寝てたら治るし、本当に大丈夫だから。先生も仕事あるでしょ?」






「……でも」








本当に大丈夫だと伝えているのだが、綾川先生は心配そうな表情を変えない。






今、この時間帯に施設にいるのは私だけではない。



精神状態や環境の変化によってまだ学校に通えていない子どもだっている。




私は寝ているだけでいいけど、その子たちのことだってあるし、仕事だってたくさんあるはずだ。







「優香ちゃん、あのね……」






「綾川先生〜!!!!」






綾川先生が私の手を取り、何かを言おうとしたその時、綾川先生の台詞に被せるように部屋の外から他の先生が綾川先生の名前を呼んだのでそれはあっさりと遮られる。






「……っ、と、何かあったらまた呼んで。じゃあ」







喉の奥まで来ていた言葉をグッと飲み込み、綾川先生が寂しそうに笑う。





そして私の返事を待たないまま足早に部屋を出て行ってしまった。






何が言いたかったんだろ?














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