隣の席の魔法使い。






「…………優香ちゃんの用事なくなったって」




突然スマホを見たまま静かに口を開いたのは他でもない穂乃果ちゃん。




「病院から連絡あったよ。優香ちゃんの再検査取り消しだって」


「え?再検査?」


「そう再・検・査。それのせいで私と遊園地行けなくなったんでしょ?」




穂乃果ちゃんがスマホから今度は私へと視線を移し〝話を合わせろ〟と言いたげな瞳で私を見つめる。



あぁ、なるほど。

用事って再検査ってことだったんだね。





「あ!そうなんだ!じゃ、じゃあ、今週末やっぱり遊園地行けるね!」



「そうそう!でも優香ちゃん青葉くんとも今約束しちゃったでしょ?だから……私たちみんなで遊園地に行くなんてどうかな?」



「な、なんて楽しそうなの!名案だね!どうかな?青葉くん!岡崎くん!」




穂乃果ちゃんの流れるような演技に必死に合わせて青葉くんと岡崎くんに微笑む。



OK出てくれー!








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