溺愛とはなんでしょう?
スタッフの人、今さっきって言ってたよね!?
私は、メッセージカードを持ったまま休憩室を飛び出る。
この方に直接お礼が言いたい!
3年間、ずっとこの花籠に勇気を貰ってたこと……。
「黒い帽子かあ…」
こういった会場に帽子を被ってくる人は、なかなか少ない。
だから、被ってる人がいたら
きっと、その人だ!!
私は、会場の出口の方へ先回りをし待機する。
あっ!!
黒い帽子……
その姿を見つけると、思わず
その方の腕を掴む。
「あ、あの!!花籠の方ですかっ!?」
黒い帽子のその人は、……
下を向いたまま何も言わず、少し沈黙する。
「……違います。人違いかと……」
人違い……
確かに。私は、花籠の方の風貌を知らない……
本当にこの人は、違うのかも……
「すみません!腕まで掴んでしまって!失礼しましたっ!」