実況しないでください!
【Part1】こんな同僚はいやだ!
ゲーム実況、というものを知っているだろうか。
ゲームのプレイ動画で、そこにはゲーム音声だけではなくゲームをプレイしている人の音声が入っていることが多い。実況、と言うとスポーツなどの実況中継などで聞くあれかと思う方もいると思うが、そうではない。普通に、時には解説しながら、ゲームを進めていくのだ。ゲームのジャンルは実に様々、ホラーゲームやノベルゲーム、アクションゲームに所謂ギャルゲーも。家庭用ゲーム機で出来るコンシューマーゲームもあれば、ネットに繋がるパソコンがあれば出来るフリーゲームというものもある。実に多種多様。
「えっ、まっ」
わたしはそんなゲーム実況が大好きなOLである。仕事で疲れた身体をゲーム実況で癒す。追っている実況者は5人ほど。イベントにも足を運ぶ程には好きである。
「っはー、今日のネコ忍のホラゲよかった…」
1週間ほど前から2日に1回程のペースで上がっている、ネコ忍(ねこにん)さんのホラーゲーム実況に、私は心踊らされていた。一人称視点、所謂FPS視点でゲームが進んでいくので、実にのめり込みやすい。ネコ忍さんはゲームが上手いので、余計に見やすい。ただ、私が三半規管が弱いことを除いては。
「いやほんと良かったけど気分悪い…お風呂出よう…」
浴槽から出てそのまま風呂場から出る。スマホは防水だが一応チャック付きビニール袋に入れているので、とりあえずスマホを取り出す。取り出したら別の実況を付ける。ここまでが毎日の一連の流れだ。家にいる間はずっと実況を見ているか聞いている。内容を覚えているものに関しては音だけで笑えるのだ。
「ちゅうさんの今日の実況は…、あれ!コラボ実況じゃん!やった!」
ドライヤーをかけながら器用に次の動画を探す。ネコ忍さん経由で知ったちゅうぺっとさんという実況者も、追っている実況者のうちの1人だ。