初めて好きになったのは先生でした。
準備室
二人で話していた罰として、奥と二人で社会科準備室に向かっていた。
『奥があんな話するから行くようになったじゃん』
『ごめん、ごめん。まさかこうなるとはもちろん思ってなかったんだょ。あとで何か奢るからね??』
『言ったかんね??でもことあと部活だったけど奥は大丈夫??』
『うちは平部員だから余裕。それより部長なのに大丈夫なの?!』
『とりあえず後輩に鍵だけ頼んだし、國井先生が、今日は時間通りに行けそうだって昨日いってたから大丈夫かな』
『ならいいけど、チャチャっと行ってチャチャっと終わらしちゃお』
『うん!!』
準備室の前に着いた。
トントンっ
『どおぞ』
中から声が聞こえてきたので二人で入った。
『『失礼します。』』
準備室に入ったものの、呼び出した和田先生自身はいなくて、森田先生だけがいた。
奥『和田先生は?』
森田先生『和田先生バレー部の顧問だから行ったみたい。』
円『なんだそれぇ~。呼び出しといてなんだよね汗』
『まぁまぁ、しょうがないじゃん?部活の顧問持ってるとなかなか忙しいんだよ。』
『それじゃぁ仕方がないですね。でも愛しのまるが来たから森田先生嬉しいでしょ??』
『そうだな(笑)円はからかいがいがあるからな(笑)』
『何かそれやなんですけど...それより何をやれば良いんですか?』
『選択科目の社会の授業のプリントを5枚ひとまとめにしてホチキスで止めてほしいんだょ。選択してる人数は少ないらしいからそんなにないとは思うんどけど。』
『分かりました。ていうか選択してる人数って何人なんですか?』
『10人くらいって言ってたかな??』
『まじですか?!めっちゃ偶然ですね。実は私達社会選んでるんですよ。ね!!まる!!』
『うん汗』
『そうなの?!てか、どんだけ偶然なんだよ(笑)本当は選択科目も和田先生が現状見てるんだけど、来週から俺が受け持つことになったんだよ。』
『『そうなんですか??』』
『そんなに驚かなくても(笑)でもますます会うようになるな。』
『そうですね。ますますまるの反応が楽しくなります!!』
『奥~!!』
『はいはぃ。それ以上はいいませんょ~』
『すぐ先生も奥も調子乗るから気を付けなきゃ。』
って言いながらみんなで笑ってた。
終わりかけになって...
校内放送が流れた。
『生徒会のメンバーですが、至急生徒会室にお集まりください。』
『やっば~忘れてた。私行かなきゃ!!もうあと少しだからまるだけでも大丈夫??』
『大丈夫だょ。早く言ってきな。』
『生徒会なら仕方がないから、和田先生には伝えとくから行ってきな』
『二人ともありがとう。じゃぁ失礼します。まるも明日ね。』
ガシャン...
いっちゃった。てかそしたら先生と二人きりかぁ...
って意識してどうするんだょ。
沈黙を打ち消すかのように
『奥は嵐のようなやつだな(笑)』
『そうなんですよ。あんな感じだから飽きずに友達やってるんですけどね。(笑)』
『良い友達持ったな。』
『はい。3年生って受験が多くて心配になったりする学年でしょうけど、良い担任の先生と友達、部活の顧問の先生に後輩とだいぶ恵まれてるのでそんなの忘れちゃいます。』
『そっかぁ。そう思うと俺も中学の時は恵まれてたのかなぁ...だからその環境が良くて教師になってみたくなったんだろうな。』
『先生って中学の時から先生になりたかったの??』
『そぉそぉ。今の円くらいの頃かなぁ...担任の先生が社会の先生でもあり、部活の陸上の顧問の先生でもあったんだよ。勉強も部活も今しか出来ないことだから、自分が数年後になって良かったって思えれば、何したって良いんだぞって。言葉は簡単だけど、要は悔いのない人生って意味なんだろうけど、悔いっていう方をするとネガティブになるから、ポジティブにそういったんだな。』
『へぇ。でも何で小学校や高校の先生じゃなくて、臨時で中学の先生をしてるの??』
『中学のその先生を目指すのも一番なんだけど、本音はオールマイティーに出来る小学校の先生もやってみたくて。ただ中学の先生も、捨てきれないからとりあえずやってみたくてやってる。それじゃあんまり説得力ないな(笑)』
『そんなことないですよ。逆にやりたいことがあるってすごいです。逆に私なんてやりたいことなんてなくて今充実してるだけです。』
『今はそれでいいんじゃないか?まぁ確かにいずれは現実を見て先を考えないときもあるかもしれないけど、円のまわりには助けてくれる人がいっぱいいるだろ??その人たちの手を借りてゆっくり成長していけば良いんだよ。時間と人が解決してくれるんだから、心配しなくて大丈夫。そのぶん勉強と部活頑張れば結果はついてくるさ。』
『何か先生みたい(笑)』
『俺先生ですけど??』
『そうでしたね(笑)でもありがとうございます。なんか相談して、良かったです。』
『だろ。なんかあったらいつでも来い。相談なるからな。』
『はい。』
なんだろ。暖かい気持ちになった。この時間を独り占めしてると思うと嬉しい気持ちになった。
『よし、これで終わり。結構遅い時間にはなっちゃったな。ごめんな。』
『大丈夫ですよ。でももう部活行っても終わりの時間だからなぁ...』
『國井先生にはうまく伝えとくから今日は帰りな。』
『何かちょっと罪悪感ですけど、先生が言ってくれるなら甘えちゃおっかな(笑)』
『どおぞ、甘えてください(笑)』
『ありがとうございます。じゃぁお先に失礼します。さよなら。』
『おう。また明日な。気をつけて帰れよ。』
準備室を、出て家に帰る準備をして自転車を進めた。