私の失恋の行き着く先は…No.6
踵を返して人混みを掻き分けながら、宛てもなくただひたすら歩いた。
なんで、どうして、と頭の中で反芻する。
仕事で会えないって。
埋め合わせはするって。
今日は私の誕生日なのに。
それなのに、裏切りを見せつけられた。
彼は私に気づいても、女の人と繋いだ手を離そうとはしなかった。
どこをどう通って帰宅したのかは覚えていない。
履いていたパンプスを脱ぎ捨てて、一目散にベッドに突っ伏した。
「酷い!酷い!」
枕に顔を埋めて声を押し殺して泣いた。
「今日は私の誕生日なのに!」
スマホを操作して彼の連絡先を消去した。
「最悪の誕生日になっちゃった…」
もうすぐ一日が終わろうとしている。
23歳の誕生日に、私は恋を失った。