私の失恋の行き着く先は…No.6


「夏帆子、おは…。ど、どしたの!?」

「貴子先輩、おはようございます…。ちょっと風邪を引いてしまいまして…」

「風邪?」

貴子先輩は怪訝そうな表情で私の顔を観察している。

大きめのマスクに伊達眼鏡。

メイクでどうにもならなかった酷い顔を隠すにはこうする他に方法が思いつかなかった。

幸いにも今日は金曜日だから、一日だけこの姿でなんとかやり過ごせば、週明けの月曜日には元の顔に戻っているはず。

今日だけの辛抱だ、と自分自身に言い聞かせてなんとか出社したのだ。

「豆田、おはよう…。どうしたんだ?」

いつもの緑川主任のからかいにも反応出来ずにいる。

「緑川主任、おはようございます…」

俯く私を緑川主任は下から覗き込んで顔を歪めた。

「麻田、今日は帰れ。課長、麻田を早退させます」

「緑川主任!私は大丈夫です」

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