私の失恋の行き着く先は…No.6
風邪を引いているワケではない。
失恋して泣きはらしただけ。
その結果、酷い顔になって変装しているだけ。
だから、早退するなんて出来ない。
「全然大丈夫に見えない。いいから帰れ」
「麻田さん、早退していいよ」
「夏帆子、今日は帰りなさい。帰って身体休めて、また月曜日からしっかり仕事すればいいのよ」
優しい言葉がグッと身に染みて、思わず涙が出そうになった。
「麻田、タクシーまで送ってやるから。ほら、下に降りるぞ」
緑川主任は私のバッグを片手に持ち、先にフロアを出ていく。
本当のことが言えずに、課長や貴子先輩に「すみません…」と謝りながらフロアを後にした。