私の失恋の行き着く先は…No.6
緑川主任は会社を出たところに丁度いたタクシーを捕まえて私を乗せた。
「気をつけて帰れよ。なにかあったら連絡してこい。とにかくゆっくり休め、な?」
「はい…」
こんな酷い顔をこれ以上晒したくない。
それに本当のことが言えず、後ろめたさも感じていた。
緑川主任と目を合わせることが出来ずに、ほどなくタクシーはゆっくりと発車した。
帰宅するなり、部屋着に着替えてベッドに潜り込んだ。
ひとりになると、途端に昨日の光景が甦ってくる。
それでも涙は流さないように必死に我慢した。
泣けばまた目が腫れる。
身体を丸めて目を瞑ると、いつの間にか眠っていたようだ。
遠くのほうから音が聞こえる気がして目を覚ました。
『ピンポーン!』
玄関のチャイムが鳴っている。