私の失恋の行き着く先は…No.6


通話が切れたスマホを片手に、ぼーっと立ち尽くしていた。

緑川主任の心配そうな声が耳に残る。

風邪だと上手く誤魔化せただろうか。

っていうか、土産、楽しみにって一体なんだろう。

今まで出張に行ってもお土産なんて買わなかった人なのに…。

この大量の差し入れだって…。

それに、からかうこともなかった。

「主任、どうしちゃったんだろう…」

しばらくぼんやりと差し入れを眺めていたけれど、急に空腹を感じてハッと我に返った。

「有り難くいただきます」

昨日の夜からほとんどなにも口にしていない。

一口おにぎりをかじると、口の中で美味しさが広がっていく。

思わず笑ってしまった。

昨日から泣いてばかりだったのに。

今はなぜか頬が緩んでいた。



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