私の失恋の行き着く先は…No.6
緑川大翔side
◆緑川大翔side
「今年の新入社員はレベル高いな~」
「だな~。みんな彼氏いそうだけどな~」
フロアの休憩室からそんな声が聞こえてきて、思わず足を止めて壁にもたれかかりながらコーヒーを飲んでいた。
このフロアには財務部と経理部が入っている。
おそらく経理部の連中だろう。
ドアの外にいる俺の存在には気づいていないようだ。
何処其処の誰それさんが可愛いだの、美人だのと、えらく盛り上がっている。
「財務部の麻田さん、小さくて可愛いよな~」
突然「財務部の麻田」と聞こえてドキリとした。
財務部の麻田は俺の部下だ。
そして、彼女が入社してすぐに、俺は彼女を好きになった。
これまでに何人かと付き合ってはきた。
相手から告白されて付き合うパターンばかり。
自分から好きになったことは一度もなかった。
麻田は俺が初めて好きになった人だ。