私の失恋の行き着く先は…No.6
「どういう意味ですか?」
「奪ったりしないのかな~と思ってね」
「奪う?」
「緑川主任ならかっ拐うくらいお手の物かと」
課長は全てお見通しと言わんばかりに畳み掛けてくる。
普段柔らかい表情でのほほんとしているけれど、会議で上層部とやり合う姿は鬼そのものだ。
なにを言ったところで嘘や誤魔化しは通用しない。
「奪うとかかっ拐うなんてことはしませんよ。これでも一応上司ですから」
「まぁね。時間の問題だろうけど。ただ彼女、時々もの凄く辛そうな表情で仕事してるよね」
その原因は度重なるデートのドタキャン、社会人になってからほとんど会えていないことにあると知っている。
けれど、俺にはどうしてやることも出来ない。