私の失恋の行き着く先は…No.6
課長にはああ言ったものの、何度奪ってやろうかと思ったことか。
ただその度にブレーキを掛けてきた。
俺は上司だし、麻田はまだ入社1年目の新入社員。
潰すようなマネはしたくない。
なにより自分から好きになった唯一の女性だ。
恥ずかしながら、どうしたらいいのかわからないというのが本音だ。
いい歳をしてなんてザマだと呆れてしまう。
「もう少し見守ろうと思います」
「そうか。それにしても、これまで浮いた噂ひとつない。社内外問わず誘われてもあっさり断る。緑川主任は仕事一筋なのかと思っていたな」
「その言葉、そっくりそのままお返しします」
「あははは!そうだな。自分でも仕事一筋だと自覚してたよ。でもね、彼女と初めて会った時に、この人と結婚するって思ったんだよね」