私の失恋の行き着く先は…No.6


男の人に頭を撫でられたことなんてない私はどうしたらいいのかわからず、俯いたまま固まってしまった。

からかわれることには慣れている。

けれど、それは休憩時間やちょっとした空き時間だったはず。

今は思いっきり仕事の真っ最中だ。

仕事中は至って真面目な緑川主任のこの行動の意味がわからない。

それはフロア中の誰もが感じたようで、なんだかあちこちから視線が集まっているような気がする…。

ますます顔が上げられない私の隣から、コホンと咳払いが聞こえた。

「緑川くん、今は仕事中よ」

貴子先輩の声に思わず顔を上げた。

すると、周囲は何事もなかったかのように仕事に戻っていた。



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