私の失恋の行き着く先は…No.6
他の人から頼まれたものもあって、私は書類を持って社内をあちこち歩き回っていた。
ちょうどその頃、会議に行った緑川主任と、お使いで席を外している私が不在の財務部では…。
「見守ることは止めて、いよいよ動き出したか」
課長は仕事の手を休めることなく、ひとり呟いた。
「私の可愛い後輩を泣かすようなことがあったら、タダじゃ済まさないんだから!」
貴子先輩は鼻息荒く、いつもより強めにパソコンのキーボードを叩いている。
「今まで土産なんて買って来なかった主任がね~」
「あれは相当な肉食だろう」
「捕らえた獲物は逃がさない的な」
「麻田さん、災難ですね~」
誰もが仕事の手を休めることなく、淡々と働きながら呟いている。
端から見れば、だいぶ不気味な光景に違いない。
私はそんなことを知る由もなく、ただひたすら社内を歩き回っていた。