私の失恋の行き着く先は…No.6
「じゃあ、そういうことで。俺は会議に行ってくる。今週末は和食をリクエストしてもいいか?」
既に食べ終えた緑川主任は、空っぽのトレイを持って立ち上がった。
「はい。わかりました」
「じゃあな」
颯爽と去っていく緑川主任の後ろ姿をぼんやり眺めていると、コホンッと目の前から咳払いが聞こえた。
しまった!貴子先輩のこと忘れてた!
「夫婦みたいな会話ね」
貴子先輩はニヤニヤと笑っている。
「そんなこと…」
端から見れば、意味深な会話だったかもしれない。
けれど、私たちは付き合っているわけではない。
私たちの関係は?と問われれば、上司と部下なのだ。
そんなことないと、はっきり言い切ってしまえばいいのに、私は躊躇ったことに気づいた。