私の失恋の行き着く先は…No.6
プライベートの緑川主任を知るうちに、いつの間にか好きになっていた。
料理が苦手と言っていた通り、広くて使いやすいキッチンには調理器具も調味料もなかった。
いつもきっちりスーツを着ているけれど、ほとんどがクリーニング頼り。
部屋着は無造作にソファーに投げ捨てられていた。
それでも決して汚部屋ではないところはさすがだと褒めたい。
時間があれば掃除はするらしい。
疲れが溜まっているらしく、ご飯を食べた後に眼鏡を外して一眠りする姿に胸がドキドキする。
おそらく彼女はいないはず。
だからといって、私は告白する勇気を持ち合わせてはいない。
ましてや、あんな失恋をした後だ。
あんなふうに傷つくのが怖い。