私の失恋の行き着く先は…No.6
出入りする人たちをぼんやり眺めていると、緑川主任がこちらに向かって歩いて来る。
「待たせてごめんな」
「いえいえ。まだ待ち合わせの時間には早いですよ」
立ち上がって緑川主任を見上げた。
「着替えたのか?」
「はい」
普段着ないような色合いの清楚な感じのワンピース。
先日、そういえば着ていく服がないと気づいて、慌てて買いに行ったのだ。
店員さんと、あーでもない、こーでもないと言いながら、散々迷いに迷って買った一着。
「どこのお嬢様かと思った」
「お嬢様って…。またからかってます?」
「本当にそう思った」
あまりにも真剣な表情で言われ、言葉を返すことが出来なかった。
恥ずかしくて黙ったまま俯く私を見て、緑川主任は楽しそうに笑っている。