私の失恋の行き着く先は…No.6
人生初の出来事ばかりで緊張感が増していたけれど、少しホッと胸を撫で下ろした。
「ワイン飲めるか?」
「飲んだこと、ありません」
これまでお酒を飲む機会はあまりなかったし、それほど強いわけでもない。
「あまり強くないワインにしようか」
緑川主任は手早くウェイターさんに注文している。
仕草ひとつひとつがサマになっていてカッコいい。
一方の私はそわそわと落ち着かない。
「主任、眼鏡しないんですか?」
どうでもいいことを言って気を紛らわす。
「今は仕事中じゃないだろ」
「確かに」
「それより、そういう格好もするんだな」
「やっぱり変ですかね。ワンピースなんて似合わない…」
「いや、似合ってるし可愛いよ」
私の言葉を遮って、間髪入れずに真剣な表情で言われると、またしてもなんと言っていいのかわからなくなってしまった。