私の失恋の行き着く先は…No.6
手痛い失恋と消極的な性格も重なって、一歩踏み出すのが怖い。
けれど、緑川主任の気持ちがストレートに伝わってきた。
なにより私は緑川主任が好きだ。
「私も主任のことが好きです。よろしくお願いします」
緑川主任の胸に飛び込む覚悟を決めた。
「夏帆子、左手出して」
初めて名前で呼ばれて顔が火照るくらい熱い。
そんな私を見ながら、緑川主任はスーツの内ポケットから小さな箱を取り出した。
「これって…」
「俺の本気、伝わった?」
私の左手薬指には、キラリと光輝く指輪。
「ありがとう、ございます…」
声が震える。
頬に伝った涙を、緑川主任は優しく手で掬ってくれた。
「俺のほうこそ、ありがとう。ようやく手に入れた。一生手放さないからな」