私の失恋の行き着く先は…No.6
凄いの一言に尽きる。
相手につけ入る隙すら与えない完璧な仕事ぶり。
そんな緑川主任の横で、私は必死にメモを取るだけで精一杯だった。
「ちょうど定時だな。豆田も疲れただろ?今日は直帰でいいから」
「直帰していいんですか?」
思わず顔が綻ぶ。
確かに疲れていたけれど、これから久しぶりのデート。
しかも今日は私の誕生日なのだから。
「課長には連絡しとくから大丈夫だ。俺はこっちだから。じゃあ、お疲れ」
緑川主任は手をヒラヒラさせながら、駅の中へと入って行った。
「お疲れ様でした!」
私は踵を返して待ち合わせ場所へと向かう。
逸る気持ちを抑えきれず、早歩きで歩く。
もうすぐ彼に会える。
誕生日を彼と過ごせるのは、やっぱり幸せ。