フィンガーマン
二人に話してやはり自分の仮説が間違っていないと自信が持てた。

『でも救うって具体的にどうすればいいんだ?』
『菜摘の失踪原因を突き止めて2週間後の8月21日の菜摘の行動を変えるしかないな』
『杉田が犯人だった場合は8月21日がXデーではないかもしれませんね』
『確かに、今一番怪しいのは杉田しかいない』
『念のため21日前後数日を警戒しましょう』
『ってことは一週間でケリがつくといいな』
『杉田はボクがまた接触してみます』
『じゃあ、俺は菜摘の交遊関係を当たってみるよ、名簿貰えるか?』
『あ、はい』
『俺は…?』
『自由行動で』
『え』
『そうですね、木村さんは菜摘の先々のスケジュールを逐一確認することと臨機応変に動いて貰った方がいいでしょうね』
『分かった』
『あ、関係ないかもしれないんだけどよ』
『なんですか?館林さん』
『杉田から8月21日の夜って聞いてから調べてみたんだよ』
『何か分かったのか!?』
『ここの隣駅で殺人事件があったらしい』
『殺人事件!?』
『関係…あるんですか?』
『いや、分からん。ただ8月21日午後23時頃女子大生の桃園まどかさん18歳が人気のない公園で刺殺されたらしい』
『18歳……』
『全く関係ないかもしれないが、歳も一緒で殺害現場もここから近い。それでなんだか気になってな』
『確かに気になりますね』
『犯人も捕まってないんだ』
『もしその事件に菜摘が巻き込まれていたとしたら犯人は殺しも厭わない危険なヤツってことになりますね』
『そんな…』
『ま、無関係かもしれないし、そんなに気にするな』
『そうですよ、可能性の一つとして頭に留めておきましょう』
『そうだな、二人とも色々よろしくな』
『ああ、俺たちの手で菜摘を助けようぜ』
『任せてくださいよ』

俺たちは拳を突き出して合わせた。
青春ドラマみたいだなって館林は笑っていた。
そう言われたら急に恥ずかしくなってきて誤魔化すように俺も森も笑った。
< 31 / 50 >

この作品をシェア

pagetop