フィンガーマン
携帯が震えだし着信を知らせる。
『もしもし…』
『わりぃ!遅くなった!』
館林の声だった。
『そっちは何か分かったか?』
『いや…』
『今、菜摘の実家に来てるんだ』
『菜摘の実家?』
『ああ、もうなりふり構わずだよ。で!スゴいことが分かったぞ』
『なんだ?』
『前に2012年8月21日23時頃刺殺された女子大生の話しただろ?』
『ああ』
『その被害者の名前覚えてるか?』
もちろん覚えている。
『桃園まどか』
『そう!その桃園まどか!菜摘の卒アルに写ってんだよ!』
『は!?』
『小・中と同じ学校だったんだ!』
『嘘だろ』
『ただの偶然かもしれねぇけど全くの無関係とも思えねぇ』
『ああ!…でも、変だな』
『どうした?』
『菜摘に桃園まどかのこと話したんだよ。でも同じ学校だったなんて一言も……』
『覚えてないのかもな。そんなに親しい間柄じゃなかったってことか』
『うーん』
『そうなると…やっぱり事件とは無関係か……』
『んー』
困ったように視線を巡らせる。
PCに新着マークがついていた。
『あ』
『どうした?』
『そういえば、森が杉田が見たっていう女の似顔絵をPCに送ってくれてたんだよ』
『おお!どんな女なんだ?』
『髪が長くて~…っと、開けた!』
『それ、こっちにも転送してくんねーか?』
『ああ、携帯でいいか?』
『頼む』
『おう、今送った』
『じゃあ一回切るわ』
『ういー』
通話が切られた。
森から送られてきた似顔絵を見つめる。
なんとなく不気味に感じた。
PCに新たな新着マークがついた。
クリックすると携帯が鳴った。
『もしもし?』
『木村!メール見たか?』
『ん?今から見るとこ』
『早くしろよ』
『やってるよ』
急かされ館林からのメールの添付ファイルを開く。
卒業アルバムの桃園まどかの写メだった。
どことなく見覚えがあるような……
『似てるよな……?』
『え?』
『だから!森の送ってきた似顔絵!』
館林に言われ似顔絵と桃園まどかの写真を並べてみる。
『ほんとだ……!』
『どういうことだ?』
頭の中がグチャグチャだった。
なんで?どうして?どういうことだ?
疑問ばかりが浮かんでは消える。
『なあ、菜摘はどうしてる?』
『それが…』
『どうした?』
『返事がない』
『なんだって!?』
『ずっと呼び掛けてるけど応答がないんだ』
『そんなまさか……!』
『分からない』
『悪い、お前にあんな説教しといて全然役に立たなくて…』
『いや…まだいなくなったと決まった訳じゃないし』
『……そう……だよな…!』
『大丈夫!』
大丈夫と自分に言い聞かせて。
もう俺のやれることは何もない。
俺は思考を止めた。
いくら考えたって菜摘とやり取りが出来なければ俺は過去に干渉することが出来ないからだ。
俺に出来ることと言えば、ここで菜摘を信じて待つこと。
それだけだ。
"菜摘"
君が返事をくれるまで何度でも呼び続けるよ。
『もしもし…』
『わりぃ!遅くなった!』
館林の声だった。
『そっちは何か分かったか?』
『いや…』
『今、菜摘の実家に来てるんだ』
『菜摘の実家?』
『ああ、もうなりふり構わずだよ。で!スゴいことが分かったぞ』
『なんだ?』
『前に2012年8月21日23時頃刺殺された女子大生の話しただろ?』
『ああ』
『その被害者の名前覚えてるか?』
もちろん覚えている。
『桃園まどか』
『そう!その桃園まどか!菜摘の卒アルに写ってんだよ!』
『は!?』
『小・中と同じ学校だったんだ!』
『嘘だろ』
『ただの偶然かもしれねぇけど全くの無関係とも思えねぇ』
『ああ!…でも、変だな』
『どうした?』
『菜摘に桃園まどかのこと話したんだよ。でも同じ学校だったなんて一言も……』
『覚えてないのかもな。そんなに親しい間柄じゃなかったってことか』
『うーん』
『そうなると…やっぱり事件とは無関係か……』
『んー』
困ったように視線を巡らせる。
PCに新着マークがついていた。
『あ』
『どうした?』
『そういえば、森が杉田が見たっていう女の似顔絵をPCに送ってくれてたんだよ』
『おお!どんな女なんだ?』
『髪が長くて~…っと、開けた!』
『それ、こっちにも転送してくんねーか?』
『ああ、携帯でいいか?』
『頼む』
『おう、今送った』
『じゃあ一回切るわ』
『ういー』
通話が切られた。
森から送られてきた似顔絵を見つめる。
なんとなく不気味に感じた。
PCに新たな新着マークがついた。
クリックすると携帯が鳴った。
『もしもし?』
『木村!メール見たか?』
『ん?今から見るとこ』
『早くしろよ』
『やってるよ』
急かされ館林からのメールの添付ファイルを開く。
卒業アルバムの桃園まどかの写メだった。
どことなく見覚えがあるような……
『似てるよな……?』
『え?』
『だから!森の送ってきた似顔絵!』
館林に言われ似顔絵と桃園まどかの写真を並べてみる。
『ほんとだ……!』
『どういうことだ?』
頭の中がグチャグチャだった。
なんで?どうして?どういうことだ?
疑問ばかりが浮かんでは消える。
『なあ、菜摘はどうしてる?』
『それが…』
『どうした?』
『返事がない』
『なんだって!?』
『ずっと呼び掛けてるけど応答がないんだ』
『そんなまさか……!』
『分からない』
『悪い、お前にあんな説教しといて全然役に立たなくて…』
『いや…まだいなくなったと決まった訳じゃないし』
『……そう……だよな…!』
『大丈夫!』
大丈夫と自分に言い聞かせて。
もう俺のやれることは何もない。
俺は思考を止めた。
いくら考えたって菜摘とやり取りが出来なければ俺は過去に干渉することが出来ないからだ。
俺に出来ることと言えば、ここで菜摘を信じて待つこと。
それだけだ。
"菜摘"
君が返事をくれるまで何度でも呼び続けるよ。