躊躇わず突き進む(詩集)
めとて
【めとて】
見上げてみると
予想以上に近かった
弱虫なわたしは
どうしても顔が上げられなかった
もし、もし目が合ってしまったら、とか
見つめていることがばれたら、とか
わたしの気持ちを知られてしまったら、とか……
くっだらないことで悩みながら
ずっとあなたの手だけを見ていた
手に目がなくて良かった
手と目が合わなくて良かった
音を紡いで声を紡いだあなたの姿が見えなくなる頃
ようやく顔を上げたら、
あなたの猫背と
笑った横顔が見えた
また好きになった